第2章 曰く付きのラブホテル MTC&BB!!!
五分ほどで目を覚ました銃兎は先ほどのことが夢だったのではと思い、体を起こす。
「起きたか、銃兎。今し方起こそうと思ってたところだ。」
「気味の悪い夢を見ましてね。」
「残念ながら夢ではない。一部始終、小官も見ていた。」
「っ!ま、まさか!」
嘘などつかないチームメイトの話だ。
冗談でないことがわかった今、この部屋がとてつもなく怖い物に思えた。
「着替えを済ませ、すぐにここを出た方がいい。」
銃兎はベッドから立ち上がり、身支度を整えた。
それも3分もかからない早さで。
忘れ物があっても取りに来る自信は無い。
フロントに電話をし、チェックアウトの旨を言うとき、
大きなテレビ画面が目の端に映る。
何か立っているような気がした。
フロントがかしこまりました。と言い切る前に、
逃げるように部屋を出た。
ホテルから出ると、何があったか既に知っているかのように、
左馬刻が立っている。
「よぉ。もうそろそろ出てくると思ってたぜ。」
「っ!なんなんだよ!あれは!!」
「その様子だと、見たんだな。」
「左馬刻の悩んでいるというのは...」
「あぁ。あれだ。」
眉間にしわを寄せ、建物を見る。
「あれが出るから、噂になっちまってよ。
101しか出ねぇんだが、
そもそも出るって時点で怖えからってんで、
部屋が埋まんねぇんだわ。」
「危うく殺されるところだったんだぞ!」
「チッ。もうそこまでになっちまったか。」
「どういうことだ?」
「噂によるとよぉ、日に日に近づいてくるらしいんだわ。
一人目は玄関辺りで見て、二人目は部屋入ってすぐんとこ、
三人目はソファーんとこ。俺んときはベッド横のカーテンんとこだわ。
どんどんベッドに近寄ってくるらしいな。
なんか唱えてんのか喋ってんのか、終わったら消える。」
「消える?俺んときは裏拍手されたぞ!」
「裏拍手だぁ?なんだってそんな縁起の悪ぃ。」
「知るか!...信じるしかねぇじゃねぇか。こんな目に合っちまったんだからな。
はぁ...で、どうすんだよ。」
「拝み屋に頼んだんだが、何でか力不足で難しいって断られんだよ。」
「左馬刻、それなら心当たりがある。」
断られる可能性もあるかもしれないが、
山田三郎のことだ。半端な情報は残さないだろうと
口を開いた。