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ゆめゆめ忘れることなかれ

第2章 曰く付きのラブホテル MTC&BB!!!


部屋の中に向かう途中、こんなことを言い始めた。

『急に霊道が変わったもんだから、部屋に取り残されたものが居るはずです。
そして、入間さんの気配にも気付いてるでしょうね。取り逃した獲物ですからね。』

聞きたくなかったと銃兎は心なしか青ざめていたような表情で、口元がヒクつく。

「だ、大丈夫...なんですか?」

大丈夫ですよーっと言いながら、部屋の前に盛り塩をする。が...

「!?黒くなって溶けやがった!」

さすがの左馬刻もゾッとしたのか、声を上げてしまう。

『んー。やっぱ塩じゃだめね。じゃこっちね。』

黒い石を部屋の前に二つ置き、それぞれに同じように黒い石のもう少し小さい物を持っておくようにと配る。

『よし。大丈夫そうね。入りましょうか!』

「これは...パワーストーンか。」

『さすが、理鶯さん。これはモリオンと言って邪気払いの石です。』

中に入ると、
入った途端から逆般若心経が聞こえる。
しばらくすると今度は逆拍手。

『なるほどね。問答無用で引き込もうとするつもりですか。それとも、入間さん狙い?』

その言葉で青い顔をする銃兎を気にすることもなく、
対抗して正式な般若心経を唱える。

[うぉぉお...おおおお!!ぎゃぁぁあ!!ぁああ!おおあぁああ!]

悲痛な叫び声が聞こえ、耳を塞ぐ人ならざるモノたち。

『ほぉ。耳を塞ぐか。少しは知能があるようだね。』

数珠を手に持ち、九字切で結界を張り閉じ込め、
御札を自身の額に当て、呪文を唱える。
唱え終えたと同時に御札を掲げると
結界の中で叫び声が小さくとなり、消滅した。

それはあっさりとした終わり方で、
一同は凄い物を見せられたのと、相手の弱さに肩透かしを食らったような複雑な気分になる。

「なんというか、非現実的世界に放り込まれたような気分ですね...」

「あんなおっかねぇのをあっさり...」

夢でも見ているのかと先ほどまで化け物が居たところを凝視する銃兎。
青筋立てて口をヒクつかせる左馬刻。

少なくともその場に居た全員、彼女を敵に回したくないと思ったそうな。


その後、最高の食事と安全が確保された睡眠で、
MAD TRIGGER CREWの心の平和が戻ってきた。

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