第1章 初恋は破綻する。
「やっぱりゆらちゃんだ!!」
「?!」
自分の名前を男の声で呼ばれて、ゆらの背筋がゾクリとした。
「ひっ……おと…男の人……。」
「え?声ちっちゃ。」
悟は何か言っているゆらに耳に手を当てて言葉を聞き取ろうとするが、声が小さ過ぎて何を言っているか分からなかった。
「やっぱり顔を隠してもダメか…。」
硝子は自分の脇に隠れる様に震えているゆらを見て、ため息を吐きながら言った。
「僕の事覚えてない?五条悟だよー。」
悟がクイッと目隠しを外してゆらの顔を覗き込んだ。
その瞬間、ゆらの時間が一瞬止まった。
悟を認識すると、見る見るゆらの顔が青くなる。
「ごっ五条悟!?」
「声出たなゆら。」
男の前で、ここまで大きい声を出すゆらを初めて見て、硝子は驚いた様に言った。