第1章 初恋は破綻する。
悟の言葉でゆらは当時の記憶が頭を駆け巡った。
封印したいほど、忘れたいあの日の記憶だ。
あの日、男の子が苦手だったゆらが、男性恐怖症までに至った全ての記憶だ。
ここで視点を変えて、私こと風見ゆらの話を聞いていただけないだろうか。
私は両親と3姉妹の末っ子としてこの生を受けた。
父親は私が幼い時から海外に単身赴任で、家は優しい母親、優しく甘やかしてくれる姉達の元、私はすくすくと育っていった。
小さい時から温厚な母親と姉達に育てられて、私はそれが当たり前の様に過ごしていた。
自分の世界が特別居心地が良いと知ったのは、幼稚園の頃だった。
私が通った幼稚園は共学で、私はソコで初めて『男の子』と言う想像以上の生物に出会ったのだった。
「先生!!先生!!〇〇くんがねー!!」
(煩い…。)
「見て見て!!蝉の抜け殻!!トンボの首チョンポ!!」
(汚な……。)