第1章 初恋は破綻する。
「…へぇ…凄いねぇ…よく自我保ててるね…。」
頭の上から聞こえてきた声に、ゆらは顔を上げた。
月の明かりに照らされて、白髪の髪が風に揺れている。
真っ暗な制服は、何処からが服で、何処からが暗闇なのか分からなかったが。
それが人間だと言う事は理解出来た。
呆然と悟を見上げていると、表情を変えたのは悟の方だった。
「……君…「ゆら!!」」
悟が声をかけようとした時に、硝子がゆらの名前を呼んだ。
「硝子さん!!」
ゆらは涙を流して、硝子が来た事に満遍の笑みを浮かべた。
「うわーん!!怖かったヨォ!!」
抱きつこうとするゆらに後退りをしたのは硝子だった。
「ゆら……その姿ではちょっと……。」
「うう…硝子さん……。」
いつもの様に抱擁をして貰えなくて、ゆらの笑みは一瞬で悲しみの顔になった。