第1章 初恋は破綻する。
硝子に連絡してから、どれくらいたっただろうか。
硝子の指示でゆらは人気の無い公園に隠れる様に蹲っていた。
(怖い怖い怖い……。)
音なのか、声なのかも分からないモノが、ずっと耳の辺りで呟いている。
少し気を抜くと、身体が勝手に動こうとする。
まるで操られるかの様に、ゆらを死へと導こうとする。
この感覚をゆらは知っていた。
昔、同じ様に異形の姿の呪いに憑かれた事があった。
あの時もゆらの身体は勝手に動いて、小学校の屋上まで自分の足で向かっていた。
そしてそのままフェンスを乗り越えようとして、ソコでアイツが現れたんだ。
ゆらは思い出しそうになる記憶に、ぎゅっと目を瞑った。
(しっかりしろ私!硝子さんが来てくれるまで絶対死ぬもんか!!)
そう自分に言い聞かせて、震える身体を自分で抱き締めた。