第1章 初恋は破綻する。
情緒が安定してきたと思ったら、急に現れた異形の姿の呪いが目の前に立っていた。
「っ!ひっ!」
ゆらは思わず後退りする。
ゆらと同じ位の身長に、ブヨブヨと横に広がる緑色の体には、無数の目が付いている。
ゆらはよく呪いを見る事はあるが、こんなに至近距離に迫られたのは久しぶりだった。
「きゃあああー!」
思いっきり振り返って走り出した。
「いやぁぁ!追いかけてくる!!助けてー!!硝子さんんん!!」
街中を呪いとしばらく追いかけっこして、捕まった呪いに ゆらの体が侵食されて行く。
(……終わった……せめて最後は硝子さんの腕の中で死にたかった……。)
ズブズブと纏わりつく呪いを感じながら、腕を伸ばして ゆらはスマホに手を伸ばした。