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依々恋々 -Another story(under)-

第18章 TRAVELER



「温泉まんじゅう、食いたいな」
彼の家のリビングのソファで、発言元である膝に寝転ぶシャンクスを見下ろす。

適当につけていたテレビの特番。
『今夜決定☆全国温泉郷総選挙!』のテロップに、温泉いいねぇ、と風呂上がりの赤い髪をサラサラと撫でる。


よっ、と反動をつけて起き上がったシャンクス。
「昔、船長やレイさんと行ったなぁ」
どっかねぇかなぁ、とローテーブルの携帯を掴んだ。

「日帰り...いや、せっかくなら一泊したい」
「今度の連休に行く?」

んー、と考えている横顔。

「明日行くか」
「え?明日?」
今日は金曜日で週末だが、今から明日の一泊なんか取れるのだろうか。

「西か東なら、どっちに行きたい?」
「えー?」
しばらく考え、西かな、と答える。

「夕日がきれいなところとか?」
「いいな、貸し切りの露天とかねぇかなぁ」
揚々と宿探しを始めるシャンクス。

「お、『地獄蒸し』うまそう」
「何その名前!?」
怖そう、と言うジウに、ほら、と画面を見せる。
「温泉の蒸気で蒸籠蒸しするんだと」
色とりどりの野菜が入った蒸籠を沸き立つ湯気に掛けている。
「温泉でお料理するんだぁ」
「あ。蒸し饅頭ある」

お目当てのものを見つけ、旅館のホームページから予約サイトに飛ぶ。
明日、明後日。
大人二人一部屋の予約を確認する。

「よし。行こう」
「え?あいてたの?」
予約の空きを確認し、ルートは、と道順を確認する。

「恐ろしき行動力とか即決力」
「お、近場で足湯できるらしいぞ」

とりあえず温泉目的地で〜、とマップアプリと観光案内サイトを見比べながら旅行計画を立て始めるシャンクス。

「ジウ、イングリッシュガーデンと日本庭園ならどっちがいい?」
「悩むなぁ...うーん、今の気分は日本庭園?」
「ここ、行ってみるか」
向けられた携帯の画面には、美しい枯山水。
「縁側で抹茶と菓子が食えるらしい」
「わ、いいなぁ」
「ここに寄って、温泉だな」
宿は18時でいいか、と携帯を操作する。

「ジウ、部屋食と会場食ならどっちがいい?」
「んー、お部屋でゆっくり食べたいかも」

わかった、と手早く手配を済ませると、温泉だぁ饅頭だぁ、と再びジウの膝に寝転び、楽しみだ、と笑った。
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