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依々恋々 -Another story(under)-

第18章 TRAVELER



 ✜

厚底のスニーカーサンダルに白のシャツワンピース。
斜めがけの赤のショルダーバッグに日除けの帽子。

「あ、お饅頭のお店、結構ある」
黒餡と黒糖と...え、珈琲饅頭ってあるよ、と髪を緩く纏め、携帯を弄るジウの手を握る。

「温泉まんじゅうって湯あたり防止のためなんだ」
知らなかった、と唇を撫でる。

「空腹で温泉に入ると貧血を起こすことがある。
 飯食ってすぐに入っても消化不良起こすが」
外したサングラスをダッシュボードの収納に入れると、白Tシャツに濃紺のシャツを重ね、黒のセンターラインパンツとスニーカーで運転席から降りる。

砂利の駐車場で、えっと、と携帯をバッグにしまったジウの腰を抱き寄せる。
茶室は、と指定文化財の寺院に向かう。
「あ、お抹茶の前に参拝しなきゃ」
「じゃあ参道の方から向かうか」
あっちだな、と本堂の方へ向かう。

山門の前で立ち止まったジウに倣って一礼する。
「手は鳴らすんだったか?」
「柏手は神社。
 ここはお寺だから手は合わせるだけよ」
ジウに教えられた手順で参拝を済ませる。

参道の脇の授与所に寄る。
御守付きの御神籤や様々な御守りを眺めたジウが手に取ったのは交通安全の御守り。

「シャンは、移動が多いから」

俺にか、とシャンクスも様々な御守から1つ選ぶ。
媛守、と書かれた鈴のついたレースの御守。
安産、良縁、子育てなど女性に関する願いを込めた御守、と書かれた説明に、ふむ、とジウは頷く。

「随分欲張りなお願いの御守りね」
「ジウは欲がねぇからな。
 ちょうどいいだろ」

桜色の媛守と赤の交通安全の御守りを授かり、寺院の茶室へと向かう。

2人分の料金を払い、庭園を望む茶室へと案内された。

いつも右手首にある腕時計を外したシャンクス。
時計外すの?と聞くジウに、作法だからな、と返す。
「細かくは知らんが、そういうもんだと、トキさんに習った」
「『トキさん』?」
「船長の親友の奥さんで、茶道の家元の娘さんだった」
昔、簡単に茶道のいろはを習ったのだ、と言う。

「何か間違えたら教えてね?」
「いつも外で飲む野立てだったから、茶室の作法は知らんぞ」
当てにならん、というシャンクスと並べ置かれた座布団へと座った。

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