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依々恋々 -Another story(under)-

第16章 君欲



 ✜

物語が最高潮を迎える頃。

少し前にベットに潜り込んで、自分の太腿を枕にし始めたジウの髪を撫でる。

-名声には意味がないの-

-好きな男性に、愛されたいと願っている-

字幕の言葉に、愛おしい頬を撫でる。
「んぅ」
ころり、と寝返ったジウの目が閉じていることに気づき、プツリ、とテレビを消した。
「結局オールナイトはできず、か」
可愛い顔して、とサイドテーブルのジャック・ダニエルを飲み干し、ベッドに潜り込む。
すよすよと眠る温かい体を抱き寄せ、一つ、額にキスをして、瞼を閉じた。

 ✜

お気をつけて、とポーターに見送られてタクシーに乗り込む。
「T.O.Gまで」

昨夜、手を付けずじまいだったフルーツを朝食に食べたジウは、ごちそうさまです、とシャンクスに頭を下げた。

「いつも食わせてもらってるのは俺だからな」
「材料費はほとんどがシャン持ちじゃない。何も食べなくていいの?」
「調理の労力だって対価の価値がある。コーヒーだけでいい」
「別に、料理嫌いじゃないから負担じゃないけど。珍しいね」
「光熱水費と俺の自己満足のため、としておけ。一人だと、朝食う方が珍しい」
多大なるお釣りが、と言うジウの手を何度か握り込む。

「お天気いいねぇ。洗濯物やっつけたい」
「...天気は来週まで持つ。帰ったら、渡すもんあるから大人しくしてろ」
「『渡すもの』?」
「ついてからのお楽しみだ」


T.O.Gの自宅に帰り着いてすぐ、呼び鈴が鳴った。
「なに?」
届いた小包の差出人はシャンクス自身。
「『お土産』だ」
お土産?とソファで封緘を開いた。
緑の遮光瓶と白い箱が上品に収まっている。

「特産品らしい。瓶の油は美容にも食用にも使えると言っていた。箱の方は、オイルを使った石鹸。そっちのが在庫切れしてたから、配送してくれるよう頼んだんだ」
箱を開けて中の香りを嗅ぐジウ。
「わぁ!お花の香り」
この香り、好き、と手のひらの石鹸の香りを吸い込む。

「ありがとう」
見上げるジウの髪を撫で、微笑む唇にキスをした。


                  END

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