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依々恋々 -Another story(under)-

第11章 Drager



会えないか?と言われて、珍しく「来てほしい」と指定されたのは近隣でも屈指の高級ホテル。
なんでこんなところに?と恐る恐るロビーに入る。

彼に買ってもらった靴が、柔らかい絨毯に沈む。
エレベータで目的階へ上がり、送られてきた部屋番号を探す。

「あった」
携帯をバッグにしまって、ドアベルを鳴らす。
「シャン?いる?」
軽くドアをノックする。
あれ?と首を傾げると、バタバタとかすかな物音がした。
シャワーでも浴びてたかな、と大人しくドアの前で待っているとガチャ、と開く扉。

「わっ!え?キャッ」
顔を上げる余裕もなく、ぐいっと引き込まれた腕にバランスを崩す。
もたついてもなんとか転けずに耐えると、ガチャン、と背後でオートロックがかかる。
ギューッと抱きついてくる体。
びっくりした、と背中に手をかけると、ひどく熱い。

「シャン、あなたまさかっ」
肩口で、ゼェゼェとした息を吐くシャンクスがふるふると頭を横に振る。
「やられた」「え?」
くっそ、と苦しくなるほど抱きしめられる。
「『やられた』って...」
まさか襲われでもしたのか、と覗き込んだ顔。
チラ、と目線を合わせたかと思うと、苦しそうに逸らされる。

発火しているかのように熱い体。
慌てて額に触れると、んんっ、と身を攀じる。
「少し熱い...体調悪かったの?」
ふっ、と笑うシャンクスに、じゃあなんで、と汗が滲んでいる額をハンカチで拭う。

「盛られた」「え?」
ハァ、と吐き出される息が熱く湿っている。
「酒に、混ぜたんだろう」
「どういうこと?」
震える声の意図が読めずに、次々に垂れ落ちる汗を拭う。

「ありそうなのは、興奮剤か、媚薬の類か...もしくはドラッグか。
性欲に作用する関係なのは間違いない。さっきから、身体が疼いてしかたねぇ」
腕に抱き込まれたからだ。
ふと掠めた熱を見下ろす。

「ジウ」
呼ばれて顔をあげると、苦しげな顔。
すり、と首筋にすり寄って耳たぶを食まれる。

「おさめて...くれない、か?」

ゴクリ、と唾を飲み下した音が聞こえた。
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