依々恋々 -Another story(under)-
第7章 形勢逆転
✜
「ん、眩しい...」
瞼に突き刺すような光を受け、ぐるりと身を反転させる。
「ほあ?」
鼻先が掠めたものにすり、と手を這わせる。
少し浅灼けている胸筋にぺたりと手を当てると、トクトクと脈動を感じる。
唸るような低い声に見上げると、絡んだ足と背中の大きな手に抱き寄せられる。
きょろ、とあたりに目線をやり、彼の自宅のリビングだと気づく。
(あれ?えっと、)
なんでリビング?と瞬きをする。
(寝落ちた?)
寝室で映画を見ながら寝落ちたことは幾度がある。
自宅で寝落ちた時も、翌朝目覚めるのは布団の上。抱き締められているのは変わりないけれど。
肌掛けの感触がいつもよりはっきりとわかる。
「🌸?」
少し掠れた声のブルー・グレイを見上げ、おはよう、と頬に手を伸ばす。
「からだ、大丈夫か?」
ゆるゆると腰辺りを撫でる手。
平気、と彼の目元にかかる赤い髪を耳の後ろに払う。
「いつもそうやって気にかけてくれるけど、それならもう少し穏やかにしてほしい」
「俺に『何もしちゃだめ』って言っておきながら🌸がなにもしてくれないからだろう」
ははっと笑って脚で腰を抱き寄せる。
「なんの話?」
ムクリと起き上がった体につられて起き上がる。
「何だ、覚えてないのか?」
そう言って目線を奥に投げると、あー、と言って頭を掻く。
その目線につられて振り返る。
「うわ、惨状!」
なんでっ!と見上げる🌸に瞬くシャンクス。
「なんでも何も、🌸が乱れまくったんだろ」
ぷるぷると首を振る。
「昨日、ふっかけてきたのは🌸だぞ?」
頬に手を添えて、そんな、と泣き出しそうに潤む瞳。
「そ、そうやってからかいたんでしょっ?!」
「いや?ただの事実だ。まぁ、俺もちょっと気分良くなってたのは否定しやしないが」
嘘だと言って、と首まで真っ赤になる🌸の髪を撫でる。
「とりあえず、俺以外の男の前で飲むな」
「...自制します」
がっくりと落ち込んでいる🌸。
風呂の用意と洗濯は任せた、と床に散乱した服を押し付けて立ち上がると、痕跡が色濃く残るソファとラグをどうするか、とリビングを見回した。