依々恋々 -Another story(under)-
第5章 HOTEL XXX
エレベータを降りて選んだ部屋へと行くと、部屋番号が点滅している。
「鍵の受け取りとかないの?」
「あるタイプのホテルもあるが、最近は自動受付が多いんじゃないか?」
シャンクスが引いたドアノブ。
狭い入り口で靴を脱ぐと、内扉を開く。
施錠を確認すると、壁に設置された自動精算機が話し出した。
「ぅふぁ?!」
驚いた🌸に驚いて、咄嗟に抱きしめる。
「俺まで驚いちまっただろ」
「だって、急に話し出すから」
🌸から恨めしそうな目線を受けながら、事前精算せよ、と訴える精算機。
シャンクスがカードを通すと、スン、と大人しくなった。
「今からだと...泊まりになるな。チェックアウトは10時」
精算機の横に貼られた料金表のチェックアウト時間を指差す。
「いろんな料金設定あるんだね」
「短時間で終わる場合もあるからな」
「せっかく来たなら、ホテルなんだから泊まろう、ってならない?」
利用者全てがカップルとは限らない、と教えてやろうかと思ったが、おいおいでいいだろうと、スルーした。
「風呂が気になったんだろ」
こっちか、と浴室のドアを開ける。
覗き込んだ🌸が、わあ、と顔を綻ばせる。
「充実してますやん!」
豊富なアメニティと初体験の興奮で変な口調になる🌸。
靴下を脱いで浴室に入ったシャンクスは、少し笑って浴槽を流す。
「先に風呂、入るか?」
「入りたい!」
真ん丸のお風呂、と嬉しそうな顔。
湯の温度を確かめて浴室を出ると、🌸はベッドの上にある操作盤で遊んでいた。
緊張はどこへやら、電気を消したり有線をつけたりして楽しんでいる。
空調とテレビのリモコンを手に取ると、えい、とテレビに向かってボタンを押した。
『あんっ、あっあっ、いやっああっん!』
突然流れ出した喘ぎ声。
画面で裸体を曝け出して悶える女を、どんな顔で見ているんだろうかと🌸に目を向けると、ベッドの上でリモコンを持ったまま、ぱちくりと目を丸めて固まっていた。
シャンクスの目線に気づいてアワアワと慌てた後、プツ、と電源を消す。
「っぷ、くっだぁっはっはっはっ!」
手を叩いて大笑いするシャンクス。
恥ずかしさからか真っ赤になる🌸に歩み寄って両手に握られたリモコンを取り上げると、一層慌てる🌸を無視して、テレビの電源を入れ直した。