依々恋々 -Another story(under)-
第23章 Trick and Treat??
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「そういえや、🌸からのお菓子が無ぇなぁ」
ハロウィンやるなんて思わなかった、と言う🌸を抱き寄せる。
「んじゃ、イタズラ希望ってことでいいか?」
「...シャンは仮装してないから、イタズラできませーん」
ふふん、と見上げる顔に、そうか、と考える。
「よし。わかった」
「なにが?」
ちょっと待ってろ、とリビングを出ていったシャンクス。
(今から仮装するの?)
もしかして支度してたのかな?とキッチンに入る。
「一応、かぼちゃとかぶは、買ってるのよ」
ジャック・オー・ランタンは、魔除け用の頭蓋骨を模したもので、ケルト式のハロウィンでは、ジャック・オー・ランタンをかぶで作るというのは、何の本で読んだんだったか、とラップを取り出す。
すっかり秋めいて、夜は冷え込むようになってきた。
体が温まるメニューにしよう、とラップに包んだかぼちゃを電子レンジに入れ、真っ白で真ん丸なかぶの葉を切り落とした。
✜
葉も入れたかぶのすり流し。
かぼちゃコロッケに、くり抜いた皮で作ったかぼちゃグラタン。
竹串を挿して箒を模した舞茸の素揚げ。
お化け型に切った餃子の皮を揚げたチップスとマヨネーズで作ったアリオリソース。
余ったかぶの葉の浅漬けを並べ、ふむ、と腕を組む。
「日本とアメリカとケルトのちゃんぽんハロウィン...」
なんとも統一感のないメニュー、と作っておきながら苦笑いをこぼす。
下拵えをしたココットを冷蔵庫に入れて、冷やしてある缶ビールを一つ、取りだすと、リビングのドアが開いた。
おかえり、と振り返る。
「っふふ!」
「あっ、笑ったな?お菓子くれっ」
ニッ、とシャンクスは、シルバーフレームの丸眼鏡の奥の目を緩ませた。
逸らした目線を再び向けると、笑い声が出た。
「んー、あ、執事?」
「おう!どうだ?」
手を広げてみせたシャンクスは、ブラックのタキシードに合わせた黒の蝶ネクタイを白いシャツ掛け、きちんと髪をセットしていた。
「髪、どうしたの?」
「会社の仲間が残ってたから、ちょっとやってくれって頼んだ」
スッ、と姿勢を正すと、恭しく頭を垂れた。
「お嬢様、お食事のお時間です」
パッ、と上げた顔で、支度したのは🌸だけどな、と笑った。
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