依々恋々 -Another story(under)-
第22章 快楽
-そろそろ着くから、部屋で待ってろ-
自宅で荷物を確認していたら、携帯に届いたメッセージ。
シャンクスがいつも車を駐めるコインパーキングへと向かうため、ヒールを足を入れる。
施錠を確認して外階段を降りると、少し先の角から見慣れた赤い髪の長身の影。
「シャンっ」
少し俯き気味の彼に手を振ると、吸っていたタバコを手持ちの携帯灰皿で消した。
「おはようございます」
「ああ。部屋で待ってろって言ったろ」
「また車に戻るんだもん。
時間、もったいないじゃない?」
🌸の言葉に、シャンクスはムッ、としたように目を細めて、赤い髪を掻き乱した。
「頼むから、部屋で待っててくれ。
もし、この会うまでの間に🌸に何かあったらどうする」
「でも、たった200m程度よ?
シャン、案外心配性なのね」
人の気も知らないで、と溜息をつく。
「到着予告のメッセージは送らないことにする」
「なにそれぇ?」
おかしそうに笑う🌸の手に、指を絡めた。
「今日の予定は?」
「んー、実はあんまり決めてなくて...」
どうしょうかなあ、と薄ピンクに艶めく唇を空いている手の指先が撫でる。
「口紅、落ちるぞ?」
「え?ああ、ありがとう」
その右手首を左手で掴んだ。
「当てもなくドライブか、どこか行き先決めるか...」
うーん。と悩みながら、また唇に指先で触れた。
「デートは、後でにするか」
「え?何か、用事できた?」
寂しそうに眉尻を下げて見上げる視線。
単純なもんだ、と血流が速度を増した体に、繋いだ手を引き寄せて、ピタリとくっつく。
少し背を屈めると、なに?と顔を寄せてきた🌸。
さっ、と周囲を確認した。
「どうし、」
こちらを向いた、ルージュが塗られた唇を塞ぐ。
音もなく離れた唇に、僅かな吐息がかかる。
「っぁ」
吐息のような声に、もう一度だけ、ちゅ、と軽く唇をぶつける。
いつものように、外なのに!とか、誰かに見られたらっ、と潤んだ瞳で罵倒されるのだろうと見下ろした視線が、頬を赤く染めて、んっ、と唇を閉じて俯いていた🌸がおずおずと見上げる甘い視線と混ざり合った。
✜