依々恋々 -Another story(under)-
第20章 寝坊に御注意...
🌸
名前を呼んで 頬を撫でる無骨な手は温かい
気持ちいいか?
ベッドで彼が よくかける問いにコクリと頷くと
そうか
と 嬉しそうに笑い返してくれる
シャン すき
そう言うと 俺も と甘いキスをくれる
シャン
もう一度呼ぶと ここにいる と額を突き合わせる
🌸 愛してる
彼がそれを言うのは 行為が最高潮を迎える時
🌸っ🌸!🌸
何度も名前を呼ばれた後 胎内に溢れる灼熱に 最近想うことは
✜
Pipipipipipipi
パッ、と開いた視界には、枕とシーツ。
鳴り続けるアラームを慌てて止めた。
「....え?」
黒曜の瞳で捉えたのは、いつもの自室の就寝スペース。
🌸 愛してる
ぼーっ、とした頭に突如浮かんだ、恋人の色香を纏った表情に、カッ!と火がついたように顔が熱くなった。
んぬぅあぁっ!とおかしな声を上げ、枕を叩いて悶える。
(な、何っ何という夢を...!)
今度は枕に顔を埋めて、熱を帯びた体で、ああ〜っ!と叫びをあげる。
ガチャ、と鳴った物音に、ビクッ、と顔を上げた。
「🌸っ」
ドタバタっと駆け込んできた音に、は、はい!います!と誰かも確認せずに返事をした。
(って、シャンしかいないか)
🌸っ!と部屋に駆け込んできた、唯一、合鍵を持っている恋人は、はあっはあっ、と息を切らしていた。
その姿が、夢の彼の重なり、きゅう、と下腹部が切なくなる。
しばらく見つめ合った時間が、一瞬なのか数秒なのかもわからないままきつく抱き締められた。
「よかった、よかった。いた」
ぎゅうぅっと抱きしめられる腕の中で、何がなんなのか、わけがわからないまま呆然とする。
ゆっくりと腕の力を緩めると、寝癖のついた🌸の髪を払う左手。
「具合悪いのか?
熱が出てるのか?
ホンゴウのところに行くか?」
前髪を払った額にコツリと当たった額のほうが熱い。
「熱は無さそうだが、顔、真っ赤だぞ?」
どうした?と頬を撫でて不安げにするシャンクス。
「っごめんなさいぃぃ〜」
「🌸!?」
デートするつもりでしっかり支度してきたシャンクスは、胸を顔を埋めて謝り倒す🌸に困惑するしかなかった。