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依々恋々 -Another story(under)-

第18章 TRAVELER


行きとは違うルートで帰路に着く。

途中、休憩にSAの喫煙所で煙草を吸っていると、トイレに行っていたジウがきょろきょろとしながら目隠しされた喫煙所の前を通って行った。
喫煙所にいる、とは伝えていなかったので、見失ったのだろう、と煙草を消して喫煙所を出ると、その一瞬で人に捕まっていた。

愛想笑いで首を振って否定するジウに、笑顔で声を掛けるのは、ライダーの男。
おい、と声を掛けようとした時、ジウの言葉が聞こえる。

「家族が待ってるの。
 主人に娘を任せてきたから、急いで戻らなきゃ」
「えーっ!?お姉さん、子持ちなのっ」

びっくりー、とジウの嘘を真に受けたかはわからない男の背後から声を掛ける。
「ウタの着替えが見当たらないんだ」
あら、と顔を出したジウを見て、男の方へ目線を向ける。

「どうした?」
「ううん。道を聞かれただけ」
トランクに無かったー?とこちら側に来たジウの腰を抱き寄せる。
「『赤のワンピースがいい』って言うんだが、見つからん」
「ああ、そうなのね」
子持ち...?と呆然としている男は放っておき、それらしい会話を続けながら車に乗り込んだ。


エンジンを掛けると、ふふっ、とジウは吹き出した。
「あーびっくりした!
 突然、『ウタの着替えが無い』なんて言い出すから、なんのことかと」
おっかしいんだから、と眦に溜まった涙を拭う。
「ジウが『家族が待ってる』って言うから、合わせてやったんだろ」
即興のやり取りを思い出し、フッ、と笑う。

「さすがパパ。設定がリアルだった」
エンジンを掛けた車のハンドルを握り、よくできてた、と未だに笑うジウの手を握る。

「いつか、本当にそういうやり取りをするんだろうな」
近い将来、と強く握り直す。
そうかもね、と優しく微笑むジウの手の甲を唇に寄せ、軽く口づける。

「季節が変わる頃につわりが来るようなら昨日の子かもなぁ」
「っ心の声が漏れてますよ。フィガーランドさん」
「ジウにそう呼ばれるの、初めてだなっ」
なんか気持ち悪ぃ、と言うシャンクス。
「結婚したら、ジウもフィガーランドだ」
「...そっか。えー、なんか強そう」

強そう?と首傾げる。

 ✜

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