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依々恋々 -Another story(under)-

第18章 TRAVELER



いい写真が撮れた、と彼女に伝えてくれ、とカメラマンに頼まれる。

スタッフの女性が差し出した封筒に、シャンクスを見るジウ。
「=それは?=」
「=モデルになってもらったんだもの。
 当然の報酬よ。彼女に受け取るように言って=」
ジウに通訳してやると、ダメだよ、と首を振る。
「お金もらったら、副業になっちゃう」
公務員規則に違反する、とシャンクスに助けを求める。

「=彼女は、本来の業務以外で報酬をもらうことを原則、規則で禁止されている。
 彼女が職を失わないためにも、諦めてくれないか?=」
あら、そう。と残念そうにした撮影クルー。
それじゃあここの料金を払うよ、と言うクルーのリーダーの申し出を断る。

「=普段、彼女はあまり写真を撮らせてくれないんだ。
  出会えたおかげで、たくさん写真を撮れた。
  感謝してる=」
「=けど、こっちも仕事だから無償というわけには=」
困った様子のクルーに、提案する。

「=写真のデータをくれないか?
  2人の写真というのがなかなか貴重なんだ。
  プロに撮って貰う機会なんかそうそうないからな。
  旅の記念に数枚もらえると嬉しい=」

もちろんさ!と快諾してくれたクルーに名刺を渡して別れた。

緊張したぁ、と胸を抑えるジウの左手を取り、ごめんな、と謝る。
「あまり、ゆっくりと楽しませてやれなかったな」
そんなことないよ、と微笑む。
「なんか、すごく思い出が濃くなった気がする」
絶対に忘れない、と言うジウ。
「撮った写真、数枚くれるように頼んだから、届いたら見せてやる」
「やった」
お願いしたかったけど言葉がわからなくて、と照れ笑う。

「シャンはすごいね。何言語理解できる?」
「西、独ならある程度話せるし読めるな...
 ああ、あと中国語。仏はさっぱりわからん」
「母国語入れて4言語...うーん、2がバイリンガル、3でトリリンガル、4だと...なに?」
「クァドリンガルだな」
「1ヵ国語だと、ソロリンガル?」
「いや、モノリンガルだ」
どこの国の言葉?と聞くジウに、ギリシャ語、と教える。

「せめてバイリンガルになれればかっこいいのに」
「どれか教えてやろうか?」
「じゃあフランス語」

ニマーっと笑うジウの柔い頬を、こんにゃろう、と摘んだ。
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