依々恋々 -Another story(under)-
第18章 TRAVELER
ゼヒ、オ願イシマス、と言うカタコトの言葉に、撮ってもらえよ、とシャンクスが背を押す。
シャンが言うなら、と頷いたジウにクルーは喜んだ。
リラックスして、と言われても緊張した顔しかできないジウ。
画角の外からシャンクスがちょっかいを出すと、徐々にいつものように笑うようになったジウに、カメラマンは何度もシャッターを切った。
「=婚約者くんとの写真も撮りたいけど、いい?=」
ジウの向かいに腰掛けると、さっきみたいにしてて、と言われる。
「=こう、すごく幸せそうに。
うん!婚約者くんの表情がいいね!
婚約者ちゃんは、まだ緊張してるかな?=」
もう一度撮るよ、とカメラを構える彼に、自然にしてほしいとさ、とジウに話しかける。
「自然に、って言われても...」
困るジウに、そういや、といつも通りに話しかける。
「アフタヌーンティーのメニューはいいのか?」
メニューの、サンドイッチとフルーツと焼き菓子が乗った3段のケーキスタンドを指差す。
食べたい、と言いながらどこか恥ずかしそうにする。
「えっと、パフェ、もいいなぁって」
パフェな、と写真付きのメニューを捲る。
「どれか一種類のやつにするか?
それとも、盛り合わせのやつがいいか?」
そう言いながら、メニューの写真を見て、ジウに確認する。
「この量、食えるか?」
「それを、決められなくて...」
俯いて言うジウ。
「紅茶も飲みたいけど、」
サンドイッチにフルーツ、焼き菓子。追加でパフェまでは...
ああ、でも季節のパフェ...と、悩ましげな顔。
「どうしよう...」
いつものように唇に触れるジウに、幾度かシャッターが切られる。
いい表情だ。 可愛いわね。 と聞こえる言葉を理解できないジウは、まだうんうんと悩んでいる。
「気になるもの、全部頼めばいい」
でも、と躊躇うジウ。
「撮影のクルーたちを誘ってシェアすればいい。
分け合えば、そう大した量じゃないだろ?
後でデータは貰うつもりだしな」
お礼も兼ねて、と言うと、ジウはパッと笑った。
見守るクルーを呼び、彼女が撮影のお礼に一緒にどうかと言っている、と伝える。
喜んで!と同席しつつ、撮影が留まることはなかった。