依々恋々 -Another story(under)-
第18章 TRAVELER
軽食やスイーツ、本格的なコースもあるメニュー。
えー、うーん。あっ、あーでも、と悩み続けるジウを微笑ましく見ていたシャンクスが助言をする。
「コースとアラカルトならどっちの気分だ?」
「えっと、アラカルトかな?」
「スイーツは食べたいだろ?」
もちろん!と食い気味の答えに笑う。
「温かい料理と冷たい料理ならどっちの気分だ?」
「温かい料理かな」
じゃあ、とメニューを捲る。
「飯、麺、パンならどれだ?」
しばらく悩み、ごはん、と答えたジウ。
「オムライス、ピラフ、ドリア」
「ドリアがいい!」
「ドリンクは紅茶かフルーツか」
フルーツ、と悩ましげに答えたジウに、ドリンクメニューを開いて、ここから2つ、と渡す。
「シャン、コーヒーじゃなくていいの?」
「たまにはな。ほら、どれがいいんだ?」
割とすぐに、フルーツティーとレモネードソーダに決めたジウに、それで悩んでいたのか、とひとり微笑む。
✜
たまには甘い飲み物もいいな、とフルーツティーを飲んでいると、カメラを持つ男に声をかけられた。
「Entschuldigen」
ドイツ語?とテーブルの傍らに立つ彼と連れを見る。
「=なんだ?=」
「=彼女は君の恋人?=」
ジウを差す彼に、いや、と答える。
「=婚約者だ=」
ドイツ語が話せる?と問う連れの女性に、多少、と答える。
「=私達、動画映像の作製会社をしていて=」
「=最近、この国の素材がすごく人気なんだ。
新しいコンテンツを探しに来たところなんだけど=」
大人しく話を聞いているジウを彼が指差す。
「=君たちを画角に入れたいんだ=」
ダメかな?とカメラを構える。
「=もう一つ。
この美しい空間に、彼女の黒い髪がよく映える。
彼女だけの写真も何枚か撮らせて欲しい=」
報酬は出すよ、と言う彼。
自分とは無関係の話をしていると思っているのか、庭を眺めだしたジウに声を掛ける。
「どうする?」
「?撮ってもらったら?」
意外とあっさりだな、と気付く。
「ジウを撮りたい、って言ってるぞ」
「...私っ!?」
やっぱり、と苦笑いする。
「ジウの髪がきれいだと」
オネガイシマス、と不慣れな言葉で頼まれたジウは、私より適任がいるんじゃ、と周りを見た。