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依々恋々 -Another story(under)-

第18章 TRAVELER


あったかい、と少し足を揺らすジウ。

「ジウ、ちょっと立て」
「え?うん」
ちら、と向かいの男を見たシャンクスは、羽織っていたシャツを脱ぐと、立ち上がったジウの腰に巻き付けた。

男は舌打ちをすると、すぐに立ち上がった。

(ナンパ目的か?)
一瞬、チカッと反射した男の手首につけられた腕時計に違和感を抱く。
スカートを捲って足湯に白い足をつけていたジウ。
そのスカートの中が目的か、と濡れた足のまま立ち上がる。

「やべ」
そう言って帽子を深く被り、ゴムサンダルで人混みの方へ向かう男に駆け寄る。
「待てっ」
「っすいません、すいません!」
謝って逃げようとする腕を掴み上げ、手首の腕時計をひったくった。

「目をつけた女の趣味は褒めてやるが
 目的がいけすかねぇなぁ」
スマートウォッチに似せて作られたカメラを確認すると、道に落として踏みつける。
ああっ!と喚く男を睨めすと、何事かと集まる人集り。
男を解放するわけにもいかず、片手で腕を押さえつけ、携帯で警察を呼んだ。

 ✜

「物証壊しちゃったのはちょっとねぇ」
弱ったなあ、と事情聴取する警官が頭を掻く。
「目撃してんだ、現行犯だろ」
「撮ったっていう証明がねぇ」
他の警官が画像を確認中、びっくりした、と腕を掴むジウを抱き寄せる。

「悪い、予定狂わせちまって」
「大丈夫。
 他に撮られてる女の子がいないといいけど」
他人より自分の心配をしろ、と呆れつつ髪を撫でる。

駆け寄ってきた若い警官が報告する。
「メモリーカードは無事でした。
 最近この辺で出没する盗撮犯のようです」
常習犯か、と呆れたシャンクス。

「データは証拠として、しばらく警察の方で預かります。
 事件が片付き次第、こちらで責任を持って破棄しますので」

警察の目にも触れさせたくないので即破棄してほしい、と言いたいシャンクスは、わかりました、と頷くジウに、仕方ない、と渋々了承した。
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