第3章 Love
side.研磨
名前に恋をしていると自覚して。
普通でいられるほど俺は器用じゃない。
ああ。
また頭に血が上ってきた。
ベッドに伏せていた身体を起こし、キッと名前を見る。
「名前はさっ!どうしてそう無神経なわけ!?」
「えっ?」
「俺だって男なんだよっ!?好きな子が近くにいたら触りたくなるし、そういう事もしたくなるっ!」
そんなキョトンとした顔で見るなよ。
「俺は名前が好きなんだよっ!気づけよっ!」
苦しい。
こんな気持ちになるくらいなら、恋なんて知りたくなかった。
はあっ…はあっ…と荒い息になる。
未だ呆然と俺を見つめる名前。
その視線に耐えられず、下を向く。
「研磨」
「…何?」
「研磨」
「何!?」
どうせ名前は俺のものにはならないんだろ。
だったら構うなよ。
優しくなんかするなよ。