第2章 Kiss
side.名前
「言っておくけど、ゲームはダメだよ?」
「うん。それくらい分かってるよ」
薬が効いてきたのかな?
虚ろだった目が少し冴えてきたように思える。
「何が欲しいの?」
「………名前」
「えっ?」
私?
聞き間違いだよね?
「だから…名前」
聞き間違いじゃなかった…
私って…どういう意味だろ?
「それって私の手?」
「…それもだけど、全部。全部欲しい」
「えっ?」
研磨の言葉に驚きを隠せない。
同時に思い出すのは、昨日の出来事だった。
固唾を呑む。
「それって、私とそういう事…したいってこと?」
「…分かんない…けど、さっきしてくれた…キスは、嬉しかった」
「えっ?」
さっきはお水が欲しかった筈だと思ったから、しただけで。
そういう気は全くなかった…はず。
本当になかった?
違う。
一回目は本当に無意識だった。
二回目は?
何かを感じた。