第2章 Kiss
side.名前
「…ねえ?研磨。私たちって幼馴染だよね?」
「そうだね」
「恋とは違うよね?」
研磨は極度に人を寄せ付けない。
だから友達も少なくて。
彼女も出来なくて。
私は生まれた時から研磨と一緒で、気心知れてて。
そういう年頃にたまたま近くにいたから。
錯覚する。
「…そうかもね」
その言葉に胸がズキンとした。
ほらね。
これは恋愛感情なんかじゃない。
「でも…名前と手繋ぐの好き…」
「………」
「さっきのキス。俺は嬉しかったよ」
目を細めて笑う研磨が可愛くて。
胸が高鳴る。
「そっか」
吊られて笑顔になる。
そして私は触れるだけのキスをした。
研磨は少し変わってるけど。
いつか別の人を好きになって、私から離れて行くかもしれない。
そしたら私はこの手をもう握れなくなる。
私はその時どうしたらいいんだろう?