第2章 Kiss
side.名前
「はい。最後」
ゼリーを完食した研磨の口に、薬を入れる。
「にがっ!」
渋い顔をする研磨にお水の入ったコップを急いで渡す。
でも研磨はお水を飲もうとしない。
どうしよう。
苦いよね?
「研磨。お水飲んで」
口元にコップを持っていくけど、プイッと顔を背けてしまう。
私は自分の口に水を含み、研磨の口に無理矢理流し込んだ。
“ごくんっ”
咽頭に水が通った音がして、ほっとする。
「はぁっ……名前…今…」
「あっ、口移しなんか嫌だったよね?ごめんね」
研磨に苦しんで欲しくない一心だった。
考え無しの行動をして、罪悪感に襲われる。
「…ううん…。もう一口。水、欲しい」
「あ、うん。今度は自分で飲めるよね?」
「…無理。名前の口から欲しい」
「…分かった」
もう一度、水を含んで顔を近づける。
二回目は何故だか緊張した。