第2章 Kiss
side.名前
研磨の額に冷えピタを貼って、リビングに下りる。
「おばさん。研磨、微熱だから様子みるね」
「そう。ここにお金と保険証置いておくわね。熱が上がるようだったらお願いね?」
「うん」
おばさんが仕事へ行くのを見送った後。
ゼリーやスポーツドリンクを探して2階に戻った。
「研磨。ゼリーなら食べれそう?」
「…無理…」
「でも何か胃に入れないと、お薬飲めないよ?」
薬箱にも空腹時の服用はお控え下さいって書いてあるし。
「…名前…」
「うん?」
「…手…繋いで…」
こうやって甘えてくれるのは嬉しい。
昔は移るからって側にもいさせて貰えなかった。
でも、薬は飲んで欲しい。
研磨が苦しいと私も苦しいから。
「ゼリー食べてくれたら、手繋げるよ?」
「…分かった…」
のそのそと体を起こす研磨。
その隙に背中にクッションを入れて、寄りかかれるようにする。
あ〜ッと開いている口に、せっせっとゼリーを運んだ。