第4章 土井半助の場合。
突然の出来事に驚いて、手を話そうとすると不機嫌そうな目で尾形を見た。
『酔ってるの?』
「酔ってない」
顔が赤いのは寒さからなのか酔っているからか、尾形は分からなかった。でもこの行動は確実に酔っている。
驚く尾形を他所に土井半助は口を開いた。
「あの日、お前はここで私を振ったな」
『…そうだったかしら』
「頑張ったんだけどな。手が届かないってこういうことかって思った」
『やっぱり酔ってるのよ。家まで送るわ。』
「帰りたくない」
そう言うと土井半助は尾形を自分の方に引っ張り力強く抱きしめた。