第4章 土井半助の場合。
久しぶりに食べるおでんは、とても染みていて2人の心を溶かした。
沢山サビースをしてくれる店主はとうとう一緒に飲みだし、潰れてしまって座席で寝ていた。
このまま帰ると無銭飲食になるため、奥さんにお金を渡そうとすると
「いいのよ。久しぶりにあなたたちを見て嬉しそうにしていたもの。
あの人が起きてたとしてもお代は要らないって言うはずよ」
結局お代は受け取って貰えずに、お言葉に甘えて帰ることにした。
まだところどころお店が空いているため少し街並みが明るい。
「ふぅ、今日は冷えるな」
『そうね。寒い』
そう言うと土井半助は尾形の手を握り、歩き出した。