第2章 善法寺伊作の場合。
伊作を慰めながら自分たちの部屋に戻ろうとすると、そこには他の6年生たちも知恵の輪に葛藤していた。
長次や仙蔵は終わっていたようだが、小平太と文次郎はガチガチと知恵の輪を引っ張ったりしていた。
「なんだ、お前らまだ終わってなかったのか」
「あ?留三郎は終わったのかよ」
「いや、俺も伊作も終わってない。」
「じゃあ終わった雰囲気出すなよ」
イライラしている文次郎に長次は宥めるように肩に手を置く。
先程からずっと黙っている伊作をみて、仙蔵が話しかけた。
伊作はビックリして一瞬「ひえっ」と変な声が出ていた。