第1章 山田利吉の場合。
「いえ、申し訳ないので大丈夫です。」
利吉が1度断ると尾形は少し顔を膨らまして利吉の胸にお盆を突きつけた。
『せっかく作ったのに食べない方が失礼ですよ。
それに今日は夜ご飯食べてないでしょう?』
城の娘とは思えないほど優しくよく周りを見ている。
利吉は「じゃあ、いただきます」といって彼女が座っている隣に腰掛けておにぎりを1口食べた。
おにぎりを食べている利吉をみて嬉しそうにしていた。
「あの…」
『はい?』
「そんなに見られると食べにくいというかなんというか」
そう言うと尾形は顔を真っ赤にして『ご、ごめんなさい!』といった。
少し利吉の胸がときめいたのは気の所為だろうか。