第7章 第六章
ルイルをパパと一緒にホテルの入口まで見送っていると、ふとルイルが何かを思い出したかのように立ち止まって、まっすぐ私の元へとやってきた。
なにか忘れ物かな?
「僕としたことが、大事なことをすっかり忘れてたよ」
「ルイル、何か忘れも」
私が言い終わる前に、ルイルは私の頬に優しくキスをした。
パパ以外からされたの、初めて……なんか恥ずかしいかも。
「え、ルイルっ……?」
「相変わらず可愛いね、ゴレア。それじゃあまたね!」
ニッコリと微笑みながら、ルイルは巨大化したチップルの背中に乗ると、颯爽と飛び去っていった。
暫く呆然としていたら、パパがそっとルイルが触れた頬に触れて、柔らかいシルク生地のハンカチで拭き始めた。
「わっ……パパ……?」
『……ゴレア、食事の前にお風呂に入りましょう。身体に埃がついているかもしれませんからねぇ』
パパ、なんだか様子が変。
いつも通りニコニコしているけど……怒ってる感じがする。
気のせいかな?