第6章 第五章
「あ……やっぱりルイルからだ!」
手紙の送り主は、グロード図書館の司書グロードさんの一人息子、ルイル。
彼とは小さい頃からの付き合いで、良くこうして手紙を書きあっていた。
グロードさんとルイルは、お客さんから本の配達を頼まれた時に、鳩を使って送り届けたりする凄腕の鳩使いだ。
それもあって、ルイルとのやり取りは伝書鳩を使ったやり取りが多く、私とルイル専用としてチップルがいつも手紙を運んでくれていた。
開けてみると手紙にはこう書かれていた。
~親愛なるゴレアへ
これを読んでいるってことは、君が無事で過ごしているって事だよね。良かった。
君のパパが殺されたって聞いて、すぐに君の家に行ったんだよ。
だけど君がいなくて、本当にびっくりしたよ。
あちこち探していた時に、噂でチャーリー姫が経営しているホテルにいるって聞いて、手紙を出すことにしたんだ。
それと、あの恐ろしいラジオ・デーモンに攫われたっていうのも聞いたけど……君が酷い目に遭っていないか心配だよ。
もし君がいいなら、久しぶりに会いたいな。
返事待ってるね、君の一日が幸せで満たされることを祈って。
ルイルより~
「ルイル……心配してくれてたんだ」
そういえば私、何も言わずに出てきちゃったんだもんね。
あの時はあいつから解放されるっていうのが嬉しくて、何も考えてなかったなぁ。
パパが起きたらルイルに会いに行っていいか聞いてみよう!
「チップル、ちょっとまってて!ご褒美にはいこれ、クッキー好きだったもんね」
「チップル!チップル!」
チップルにクッキーを渡してから、パパの朝ごはんを作る。
今日はトーストと、スクランブルエッグにしようかな。
珈琲の淹れ方も最近教えてもらったから、パパに美味しいって思って貰えるように頑張らなくちゃ!