第6章 第五章
「ん……そろそろ起きなきゃ」
朝、隣で寝ているパパを起こさないように起き上がり、歯を磨いてからクローゼットの引き出しを開ける。
今日は何を着ようかなと考えながら、クローゼットの奥にしまっている小瓶を取りだし、中に入っている薬を一つ取り出して口に入れる。
「パパの朝ご飯作らなきゃ……あれ?」
部屋を出ようとした時、聞き覚えのある鳴き声が聞こえた気がして足を止める。
どこかで聞いたような……鳥の鳴き声。
不思議に思いながらも部屋を出てキッチンに立ち、パパの朝ご飯の用意をしていると、また鳴き声が聞こえる。
振り返るとキッチンにある小さな窓ガラスを、コンコンと小さな鳩がクチバシで器用にノックをし、鳴いていた。
「チップル!チップル!」
「え……もしかして、チップルなの?」
「チップル!チップル!」
「チップルー!久しぶり!」
窓を開けると同時に、鳥が私の肩の上に乗ってスリスリと頬擦りをしてくる。
間違いない、この子は伝書鳩のチップルだ。
チップルは私がよく通っていたグロード図書館で飼われている伝書鳩で、チップルと鳴くのが特徴だからすぐに分かる。
「チップル久しぶり!元気にしてた?よくここが分かったね」
「チップル!チップル!」
「あははっくすぐったい!もしかしてお手紙届けに来てくれたの?」
チップルの足を見ると、手紙が括り付けられている。
器用に私の前に足を差し出し、手紙を取ってくれと言わんばかりにドヤ顔をしているチップルの頭を撫でながら、手紙を外して中を開ける。