第3章 【裏】同室の情事
レイは、この世に生を受けてからと言うもの、ずっと
「美しい」
と言われ続けてきた。
子どもの頃からその美しさは健在で、白い肌に大きなガラス玉のような透き通った目、すっと端正に整った鼻筋に白い歯、絹のような美しい髪の毛…。
レイを見て振り返らない者は居なかった。
壁内の治安はそこそこに保たれてはいるものの、
やはり少し街を外れればゴロつきや酔っ払いも多い。
可愛い上に、年齢が上がるほどにどんどん体つきが女性らしくなったことで、いやらしい目を向けられたり、通りすがりに触られることなどもあった。
それらを怖がって逃げるばかりの自分に嫌気がさし、調査兵団への入隊を決めたレイ。
親からは何もそんなところへ入らなくても、と散々泣かれたが、レイの意思は固かった。
「私、絶対強くなりたいから!」
といって入団した。
しかし、待っていたのはまたも容赦ない男たちの目線だった。
もちろん、命を賭して戦う調査兵団だからこそ、
セクハラまがいのことは起こらない。
お互いへの尊敬の念があるから。
しかし、廊下を通れば
そこで話していた男の集団の全員がレイを目で追う。
ふと聞いてしまう男同士の会話は、聞くに耐えないレイに関する猥談も多かった。
そんな中で、リヴァイは違った。
巨人討伐では人類最強と呼ばれ、いつも涼しい顔をして巨人を次々倒した。
「人類最強」の呼び名に相応しく、瞬きする間に巨人を切り刻んでしまうほどのスピードとパワーで他の団員を圧倒した。
そして
レイをいやらしさの対象として猥談をする団員には容赦のない拳や蹴りを飛ばした。
今までそうした男たちからの卑猥な目線や噂話には、自分が闘うしかないと思ってきたレイ。そのレイにとって、誰かが守ってくれる道…それも人類で最強と言われる男に守ってもらえる人生があったなど、思いもよらなかった。
いつしかレイはリヴァイに恋をしていた。