第2章 【裏】怪我後の身体調査 1
「そうだ。俺のやり方だ」
ツカツカとブーツの音を鳴らしながらレイにリヴァイが近づく。
すると突然ふわりと頭の後ろに手を添え、唇を重ねた。
あまりに突然のことで動けずにいるレイ。
一度だけでなく、何度も何度もその唇を重ねてくるリヴァイ。
口を離すたびにその紫がかった瞳がレイをまっすぐ見据える。
しだいにその口づけは激しさを増し唇を吸い、
固く閉ざしているレイの歯をこじ開けようと舌が滑り込む。
キスなど、寄宿学校に入っていた頃に付き合っていたクラスメイトとして以来だ。それもこんな濃厚なキスをしたことはない。
その恋人とは大きな進展もなく、卒業とともに兵団に入る決意をしたレイは、別れを切り出した。
ただただ優しかった恋人の寂しそうな顔は今も鮮明におぼえている。
「こんなキス…知らない…」
戸惑うレイは心の中でそう叫ぶ。
「口開けろ」
極度の緊張から棒立ちで歯を食いしばっているレイを見て、リヴァイはレイの陶器のような白い頬をそっと両手で包みながら言った。
レイ少し歯の間を開けると、猛烈な勢いで舌が滑り込んできた。
唇ごと食べられてしまうのではないかと思うほど激しく吸い取られたかと思うと、鳥がついばむかのように優しく唇を重ねる…
憧れていた兵長とこんな激しく唇を重ねるだなんて。
それもついさっきまで
「リヴァイ兵長は私のことなんて名前も知らないに違いない」
なんて思っていたというのに。
リヴァイからの熱い口付けに、膝から崩れ落ちそうな感覚に陥る。
一方でちょっとした理性も頭の片隅に残っている。
レイ
「あ…あの…兵長…
兵長式のお礼というのは…」
リヴァイ
「なんだ」
レイ
「いつも隊員にこのようなお礼を求められるんですか?」
そういえばリヴァイ班のペトラも、エレンの虜のミカサも、壁外遠征中に兵長に命を助けられたと聞いたことがある。
レイ
「ペトラやミカサとも、こんなふうに…
するんですか?」
熱く燃えたぎる烈火のようにキスを続けていたリヴァイが、そっとその額と端正にとがった鼻をレイにつける。