第2章 【裏】怪我後の身体調査 1
一方のリヴァイはレイの気持ちなど知るよしもなく、足早に部屋へと戻った。
途中で、先ほど所用を頼んだモブリットと遭遇し、
「兵長!先ほどの仕事、終わりましたよ!」
と声をかけられたが、モブリットに目も向けず
「そうか」
のひと言だけすれ違いざまに言っただけだった。
バタン
「ふぅ…」
部屋のドアが閉まると同時にリヴァイは安堵する。
「クッソ」
女の裸など、今まで何人も見てきた。
後腐れなく関係を持てる女に限っていたが、中には胸の大きな女もいたし、色気たっぷりな女もいたし、痩せた女、ぽっちゃりした女、顔立ちの整った女、色々な女との経験はある。
それに人類最強と呼ばれるリヴァイにはコアなファンもいて、
時に夜這いまがいのこともあった。
夜部屋をノックする音が聞こえ、出てみれば隊員の女が半裸で愛の告白をしてきたこともあった。
しかしどれもリヴァイにとっては特別な何かではなく、自分の動物的欲求をてっとり早く解放するためだけの行為だ。
それに、隊員は風紀が乱れたり、生死を分ける戦いの際に影響するのが嫌だから決して抱いたりはしない。
後腐れなく抱ける女としか関係を敢えて持たなかったということもあるが、そうでなくても今まで誰かに強烈に心を持っていかれ、気になって仕方がなくなることなどなかった。
ましてや目の前の女を力づくでもどうにかして、行為に及びたいなどという衝動に駆られることなど皆無だった。
抑えようとするほどに、先ほどの生々しい裸体のスケッチが頭の中をチラつく。
あのぷっくりと膨らんだ乳輪ごとひねりあげたら、どんな声をあげて啼くのだろうか。
あの一点の曇りもない美しい秘部を割り広げたら、どんな形状をした花びらが顔を出すのだろうか。
あの赤く潤った唇を、舌を吸いあげたらどんな味がするのか。
すでに何度も何度も押さえつけられているリヴァイの男としての欲望は、もういつ破裂してもおかしくないほどに膨れ上がり、次々とその想像がリアルさを増していく。
もはや自分自身の手でその欲求を収めるしかあるまい、と思ったその時だった。
コンコンコンっ
控えめな、それでいて意思のこもったノックが3回。
「リヴァイ兵長…」
なんということか、ドアの外の声はレイだ。