第37章 FRIENDS
ウタのヘアアクセサリーセットがシャンクスが獲得した景品だと知って、ずるい!と喚くルフィ。
「シャンクス!おれにも、おれにも!」
先程、惜しいところで取り逃した景品へとシャンクスの手を引く。
「赤い方がいい」「わがまま言うな」
赤と青。2つ並ぶのは大量のシャボン玉が作れるバブルガン。箱入りの景品に、また面倒なのを狙ったな、と小銭を入れる。
ルフィの要望通り、右手の赤の箱を狙う。
一回目で少しだけ横にズレた箱に、ふむ、と角度を変えて覗き込んだシャンクスが小銭を数枚入れた。
一回目。箱の中央からズレたところを持ち上げ、位置を大きくずらす。
二回目。今度は、持ち上げた対角辺りをアームの先で引き寄せる。
三回目。
「「「あ!」」」」
箱の隙間にうまくかかったアームに、覗き込む3人の声が重なった。
ゆらゆらと持ち上げられて、ゴド、と落ちた箱をルフィが取り出し口に頭を突っ込んで引っ張り出した。
「ありがとう!シャンクス」
やったー!と大きめの箱を抱えあげてはしゃぐルフィ。
「うまいのね」
「コツが掴めればなんてことないさ。攻略法は何通りもある」
ずらすか、押すか、揺らすか、と指折り笑う。
店員に手提げ袋に入れてもらった景品を受け取り、ご機嫌なルフィ。次はー、と辺りをキョロキョロする。
「小遣いの範囲にしろよ」
「「まだあるもーん!」」
シャンクスの注意に2人が嬉しそうに小銭の音がする財布を振る。
ス、と視線を動かしたシャンクスが少し、ジウに歩み寄った。
「欲しいもんがあるなら取ってやるぞ?」
「え?ん〜、そうねぇ」
辺りの景品を眺める。
「いろんなのがあるのね」
「珍しいものでもあるか?」
よくある景品類に、シャンクスは首を傾げる。
「珍しいものっていうか...ゲームセンター、初めて入ったから」
「っそうなのかっ?!」
コクリ、と頷くジウ。移動を始めたルフィとウタを追う。
「なんか、行くきっかけがなくて」
「学生の時、放課後遊んだしなかったのか?」
「通学の電車、遅れたら乗り換えに間に合わなくて、行きも帰りも駅に直行してたから」
「そうだったのか」
「シャンは、学生の時どうだったの?」
「その辺で遊び回る普通の学生だったぞ。バギーや鷹の目とよく一緒にいたな」
「鷹の目、さん?」
「あだ名みたいなもんさ。ジュラキュール・ミホーク。同級生の男だ」
