第37章 FRIENDS
取ってくれとねだられた可愛らしいヘアアクセサリーセットを大事そうに抱えるウタ。シャンクスからみたらチープな景品だったが、ウタは宝物にする!とはしゃいでいた。
「ジウとルフィはどのあたりにいるんだ?」
ジウはあまりゲームに興味がないことを知っているシャンクスは、ルフィに連れ回されているであろう姿を探す。
「すぐどっか行っちゃうんだから!」
プンスカ怒っているウタに、言えた口か、と小さく笑う。
背の低い機体の向こうに見間違うはずのない姿を見つけて、ウタの手を引く。
「ジウ!ルフィ!」
ウタの声に振り返ったジウ。
その表情と、彼女の向かいの様子に気づき、早足になる。
2人を隠すようにルフィの隣に立つ。
「用件を聞こうか?」
落ち着いた声で問うシャンクスに目線を交わした二人の男は、ちら、とジウを確認して何も言わずに立ち去った。
その背中を睨みつけていたシャンクスは、大丈夫か?と言うルフィの声にジウへと視線を向けた。
「大丈夫!驚いただけよ」
ごめんね、とルフィの頭を撫でるジウの手を取る。
「なにがあった?」
「ただのナンパ」
笑うジウに眉根を寄せると、ルフィに手を引かれる。
「ちがうぞ。あいつらジウを連れて行こうとしたんだ」
「ああ?」
低い声を出したシャンクスに、ウタが、怖いよ、とジウに縋った。
「説明しろ」
急降下したシャンクスの機嫌に苦笑いして、ジウは辿々しく話した。
「本当に、ただのナンパ。『子どもがいるから』って言ったら諦めるかなぁ、と思ったんだけど、『このお金で遊ばせておいて一緒に』なんていうから呆れちゃって」
うまく躱せなかったの、と言ってルフィの目線に合うよう屈み込んだ。
「ごめんね。巻き込んじゃって。守ってくれてありがとう」
「俺は男だからな!女は守るもんだ、っていつもじいちゃんが言ってる」
「すてきなお祖父様ね」
ひひっ、と照れ笑うルフィの頭を撫でて立ち上がる。
「ルフィ君が『ジウにはシャンクスがいるからだめだ』って守ってくれたの」
「わかってるじゃないか」
何持ってんだ?とウタが抱える景品を覗き込むルフィに、シャンクスはゆったりと笑った。