第37章 FRIENDS
広い駅ビルを歩き回ると、ルフィが何かを見つけて駆け出した。
ガヤガヤと効果音と音楽が交差する空間に、たくさんの媒体や機体。
「「ゲームする!」」
爛々と見上げてくる4つの瞳。
またか、と呆れるシャンクス。いそいそとお小遣いの入った財布を取り出すルフィとウタは、えっとえっと、と辺りを見回す。
「「あれにするっ!」」
そう言って二人は見事に逆方向へ向かう。
「おい!待てっ!」
「シャン、ウタちゃんの方行って。私、ルフィくんについておくから」
シャンクスが呼び止める前にジウはタッとルフィに向かって駆け出していた。視界の端のウタを見失いそうになり、後ろ髪を引かれながらも、シャンクスはキラキラした景品が並ぶ機体の間に消えた姿を追いかけた。
✜
真剣な眼差しで、箱の中の景品を狙うルフィ。
「ここだっ!」
下がったアームが狙った景品を釣り上げる。
「落ちるなよっ落ちるなっ」
「もうちょっと!」
少し屈んで、一緒にアームの動きを追うジウ。
吊られてゆらゆら揺れる景品のおもちゃにハラハラする。
「「あっ」」
ゴト、と景品獲得口の手前で倒れた景品に二人の声が重なった。
「これ取れないぞ!」
「難しそうだね」
くそー、と色んな角度から景品を眺めるルフィが、キョロ、と辺りを見回した。
「シャンクス来ねぇかなぁ?こういうのうまいんだ」
「そうなの?」
どちらかと言うと手先器用なタイプではないと思っていた、とルフィの言葉に瞬く。
「大概取ってくれるぞ!じーっと見て狙ってすぐ取るんだ」
「あ、そういえばゲームはうまいかも」
以前、会社の仲間たちとゲームしていた様子を思い出す。
もう一回挑戦してみる、というルフィを見守っていると、ねえ、と声がかかった。
「一人?」「かわいいね。いくつ?」
学生だろうか。同じくらいの年頃の男二人。
「誰だ?」
知ってるやつか?と見上げる視線に気づいた一人が屈んでルフィの髪を撫でた。
「そっ!お姉ちゃんのオトモダチ〜。ちょ〜っとだけお話あるからあっち行っててくれる?」
「あの、困ります」
ジウの様子の変化に気づいたルフィが、強くジウの手を引っ張った。
「ジウ、本当に友達か?」
「...知らない人」
首を振るジウの前に仁王立ちになったルフィは、腕を組んで鼻息を荒くした。