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依々恋々 -Another story-

第37章 FRIENDS


幹線鉄道が通る駅。
駅建物の裏道に入り、ちょうど日陰になる平面パーキングにシャンクスは車を停めた。

「二人は少し辺りで遊びたいと言い出すだろう。マキノさんはエースのところに直接向かうだろうし、ジウ、買いたいものがあったら今のうち寄っていいぞ」
何かあったかなぁ、と指を絡めて繋ぐ左手を握り返し、空いた手の指先で唇をなぞる。
「夕飯はウタちゃんとルフィくんに聞いて決めたいし、明日の朝食の買い出しくらいかな」
今すぐに、ってものはないかも、と頷く。

「電車がつくまでまだ少しあるな」
腕時計で時間を確認し、デートするか、と笑って引き寄せるシャンクスは、コクリ、と頷いたジウに、かわいい、と笑って歩き出した。


デパートのショーウィンドウの前や地下街の店先を通るたび、ジウに似合いそうだ、と服やら靴やら鞄やら買おうとするシャンクスを引きずる。
「今あるもので充分」
「不便なこととかないか?台所用品とか」
生活雑貨の店に入ろうとする背中を押して歩く。
「あったらちゃんと言うから」
「そう言っていつも言わないじゃないか」
不満そうに振り返る彼を見上げて、視線を反らす。
「日頃の買い物だってそうだ。最近、一緒に買い物に行ってくれないよな」
なんでだ?と半分いじけている彼に嘆息する。

「だって、全部シャンがお金出しちゃうじゃない」
「それが?」
「それが?って...」
「金銭だけじゃなく、ジウはもう少し我儘言ったり甘えたりしろ」
頭に乗った温かい手に顔を上げる。
「言っただろう『遠慮されるとさみしい』って。甘えるのだって、愛情表現の一つ、だろ?」
な?と笑った顔に、少し俯いて繋いだ手を握る。
「じゃあ、一つだけ」
「一つに絞る必要ない。全部言っちまえ」
ほら、と嬉しそうに待っているシャンクスを、えっと、と少し彷徨わせた目線で見上げる。

「あの、シャンの煙草がほしい」
「たばこ?」
吸うのか?と見下ろす視線に、ううん、と首を振る。
「シャンの匂いが好き、だから...香水とコーヒーは同じ銘柄のやつもらってあるけど、煙草だけ見つからなくて...」
おず、と見上げられた視線に、ドキリ、と胸が高鳴る。

「今、シャンが持ってる半端のやつでもいいの」
シャンクスが袖を捲って着るカジュアルジャケットのポケットを指すジウ。
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