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依々恋々 -Another story-

第35章 Swim wear


買ったはいいものの、サナには量が多すぎて食べきれなかった青のかき氷を胃に流し込む。
波打ち際。
海水に脚をつけながら遊んでいる赤と黒の後ろ髪を見るでもなく眺める。

「ふふっ」
タオルを引いた自身の片腿を枕にテントの中に寝転がるサナの頬を撫でる。
「どうした?」
「なんか、いいなぁって」
腰元まで海に浸かり、怖がっているジウに手を伸ばすシャンクス。
背負うように首に腕を回させると、更に深みへと泳ぎ、海面を差してなにか話すと顔を見合わせて笑う。
ジウの手を引きながら後ろ向きに泳ぎ、タイミングをカウントしたかと思うと、ザブン、と同時に海面に沈んだ。

「ジウちゃん、スモーカーさんとお付き合いしてる時は、あんまりああやって遊んだりしてなかったし、なんていうか熟年夫婦みたいな二人だったから、新鮮だなぁって」
先に顔を出したジウが、不安そうに辺りを見ている。
背後から勢いよく顔を出して抱きついたシャンクスに驚くと、胸を叩いてなにか言いながら見上げる。

「変わったよな」
ローを見上げるサナ。
「ああやってはしゃいだり、嫉妬したりするジウは、初めて見た」
「ふふ。そうだね」
向かい合って差し出したシャンクスの手を眺め、嬉しそうに笑う。

「「あ」」
あまり人の多くない深みに浮く影が重なる。
「ぜってぇジウにキレられるぞ」
離れていくジウを追いかけるシャンクス。
捕まえた腕を振り払おうとするジウの濡れた髪を撫でる。
半分無理矢理ジウを抱きかかえて浅瀬の方へ戻る。
そのままテントまで戻ったシャンクスが苦笑いする。
サッ、と腕から降りると、ラッシュガードを羽織ってテントに立て篭もるジウ。

「シャンクスさん、やり過ぎ」
サナに指摘され、いやあ、と濡れた髪を乱す。
「ジウ、ごめん」
しゃがんでテントを覗くが、シャッとチャックを閉められてしまい、やっちまったなぁ、と項垂れた。
「人前でベタベタされるの、ジウちゃん嫌いなのに」
「わかっている。わかってんだが...」
我慢がならなかった、と中のジウに謝る。
「やりすぎたな、悪かった」
無言のテントに、ちょっとずるいか、と思いつつ、ポケットに入れていたソレを取り出した。
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