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依々恋々 -Another story-

第35章 Swim wear


ゆっくりと開いたテントにホッとして、ごめん、と差し出す。
「緋扇貝、」
「ん?」
キッ、と見上げるジウに少し怯む。
「緋扇貝がいいのっ」
再び閉まったテントに呆気に取られる。

「なんだ、ヒオウギガイって」
いじけ虫か、と呆れるローの声にハッとして立ち上がる。
「わかった!緋扇貝、赤いやつ!なっ」
ちょっと待ってろ、とシャツを羽織って駆け出したシャンクスをローとサナが呆然と見送る。

しばらくしてテントを開けたジウが、シャンクスが置いていった貝殻を拾う。
「めずらしいね?ジウちゃんがわがままなんて」
「いつも振り回されるのはこっちだもん。たまに困らせたっていいでしょ」
つん、としてポーチに小さな貝殻をしまったジウに、嬉しそうなサナ。
携帯を見ていたローが、ああ、と呟く。
「緋扇貝、このあたりで採れるのか?」
「わかんない、けど、見つからなかったら諦めるでしょ?」
「時期は10月から4月...見事に外れてるが、赤髪のやつ、あの様子じゃなにが何でも見つけてくるぞ」
ローの言葉に、サナが不安そうに見上げたジウの表情が少し硬くなった。

 ✜

冷たくなった風に舞う髪を抑える。
うーん、と遠くを眺め、3回目のコール。
「繋がった?」
半乾きの髪を整えるサナ。
「...だめ。出ない」
「...もしかして、携帯、セーフティボックスに入れっぱなしとか?」
まさか、と車のサイドミラーに掛けられたボックスを振ると、なにかがぶつかる音。
ナンバーキーで解錠すると、中にはカーキーと赤の携帯。
あちゃー、と言うサナに、うそぉ、と座り込む。

「緋扇貝がいいなんて、言うんじゃなかった...」
手のひらの小さな桜貝を握る。
日が傾き始めた海に、携帯とカーキーを握り込む。

「ジウっ!」
ハッと顔を上げ先に見える、夕日を背負う赤い髪にホッとする。あんなに濡れていた髪が乾いて夕風に破られている。日に焼けたのか、少し顔が赤い。
「ほらっ」
笑顔で差し出された貝殻を受け取る。
「どこまで、行ったの...?」
「すぐ先の漁港だ!赤いのが見つからなくてなぁ」

ようやく見つけた、と笑顔のシャンクスから赤い貝殻を受け取る。
「仲直り、してくれるか?」
不安げに覗き込むシャンクスに勢いよく抱きついた。
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