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依々恋々 -Another story-

第35章 Swim wear


見上げたシャンクスの反応が薄く、どうしたの?と眉を下げる。
フィッ、と目をそらされたかと思うと、眉根を寄せて険しい表情に変わる。

「怒ってるの?」
嫌だった?と頬に触れる。

「怖い顔してる」
背けていた顔を向け、悪い、と言った顔はいつもの笑顔だった。

「ちょっと、威嚇を、な」
「威嚇?」
キョトンとしたジウが、ハッとして遠くの海を見る。

「え!?サメがいたとか言わないでよっ!?」
怖いから、とすり寄ってくる体を抱く。

「まぁ、血に飢えたサメと変わりないっちゃ変わりないな」
さりげなく、右手にいる若い男からジウの体を隠す。

「ヤダッ!あがる」
浮き輪を抱えて浜辺に戻るジウ。

惚けた顔で、雫の垂れる真っ白な肌が眩しいジウを見追う男を鋭く睨む。
すいません、と呟いてそそくさと離れた男に舌打ちし、ザブザブと大股に水を切ってジウを追いかけた。


もう上がるの?とテントの小陰にいたサナに言われ、だってサメが、とタオルを肩に羽織る。

「いるわけ無いだろ、こんな浅瀬に」
呆れ声のローにジウは反抗する。

「で、でもほら!たまにニュースとかで海水浴場近海に出たとか聞くし...」
こわい、と零したジウの髪を撫でる。
「怖がらせたな、悪かった」
シャンのせいじゃない、と笑った。

「なにか冷たいものでも買ってやろうか?」
「大丈夫。自分で買えるよ」

行こ、とセーフティーケースに入れていた財布を手に取る。

「サナは?なにか飲む?」
「シュワシュワ飲みたいっ」
「炭酸ね。ローは?」
「スポドリ一本買ってきてくれ」
「メーカーは?」

なんでもいいと言うローとサナに荷物を任せ、ジウにパレオを巻くよう言うと、露店と海の家が並ぶ方へ向かった。


いらっしゃい!と濃く灼けた肌の商店の男が笑う。
氷と水がはられたクーラーボックスに浮かぶボトルからジウが選んだドリンクを取り出し、480円ね!とタオルで拭く。

「兄ちゃん、可愛い子連れてんね!」

一人で持とうとしたジウからボトルを取り上げる。

「羨ましいだろ」
「言うねぇ」
まいど!と愛想のいい男に、ありがとうございます、と少し照れたように笑うジウの手を握り、テントへ戻った。
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