第35章 Swim wear
ドーナツ型の浮き輪をソファのようにして海面に浮かぶジウ。縁の曳縄を掴むシャンクスの胸に波が当たるほどの場所で、波に揺られる。
「足、着いてるの?」
「いいや?」
浮き輪に捕まるでもなく波間に漂っているシャンクス。
「海水だしな、普通に浮いてられるぞ?」
軽い巻き足くらいで、となんともなさそうに笑う。
「器用ね」
うまいもんだろ、と笑う。
「ガキの頃の遊び場なんか、海くらいしかなかったからな」
「海で泳ぎの練習してたの?」
「ああ。プールなんか、学生以来行ってない」
海の方がいい、とジウの周りをくるりと回る。
「よっ!」
「わっ!ひゃあっ」
ぐん、とジウの座る浮き輪を引き寄せ、半身に乗り上げる。
「ひっくり返っちゃう!」
大丈夫大丈夫、と笑うシャンクスと、慌てるジウ。
「「あっ」」
重なった二人の声と、ポチャン、と小さな音を立てて海面にできたミルククラウン。
ぱら、と肩に広がったジウの黒髪に、しまった、とシャンクスが浮き輪から手を離した。
ジウが止める暇もなく、瞬く間に海中へと潜る。
あっけにとられたジウが、どうしよう、と穏やかな波が立つだけの海面を見つめていると、少し先で赤い髪が振り上がった。
「悪いっ」
すいーっと泳いで傍に寄ると、差し出される髪留め。
それを受け取ると、安堵の息を吐いて濡れた髪をかき揚げて撫でつける彼を見つめた。
「ごめんな?」
受け取った髪留めを手に持ったままぼんやりとしているジウを心配そうに見つめる。
「う、ううん!大丈夫」
「?」
浜に戻る、というジウを浮き輪ごとビーチに引っ張り、浅瀬で立たせて手を取る。
「全部濡れちゃったね」
「風邪は引かんだろう」
フルフルッと頭を振って髪の露を払うシャンクス。
「大型犬みたい」
「抱きついて押し倒してやろうか?」
ワン、とふざけて見せると、んー、となにか考えるジウに首を傾げる。
「えいっ」
「っ!?!?」
トン、と濡れた体で抱きついてきたジウ。
驚いているシャンクスを見上げて濡れた髪を撫でる。
「よしよーし」
犬のように接して誂っているのだと気づいていたが、見上げる笑顔といつもより露出の多い白い肌に、ゴクリ、と喉が鳴った。