第35章 Swim wear
車でローとサナとの待ち合わせ場所である海の駐車場につくと、黒のベンツの傍らに立つ黒の亜麻色の髪の後ろ姿。
赤のランドローバーに気づいて手を振るサナは、サイドポニーに結い上げた髪に、白の膝丈のワンピース。
後部座席から荷物を出すローは、黒地に黄色のラインが入ったハーフパンツにディープブルーの半袖シャツ。黒縁のメガネは、クリアカラーのサングラスのようだ。
「ローがメガネかけると、インテリヤクザ感すごくない?」
「なぁ、前々から思ってはいたんだが、ジウはローにあたりが強いな?」
今更何を遠慮する仲かと、と運転席を見やり、あ、と零す。
「もっとヤクザみたいな人が、」
赤のウェリントンに濃いグレーのレンズを入れたサングラスを掛けているシャンクスは、なんだと、とジウの輪郭を指で擽る。
「ふふっ、冗談よ。似合ってる」
車を区画に停め、エンジンを切ったシャンクスの頬にキスをしたジウは、ごめんね?と見上げる。
「ジウ、もう一回」
「ダメ。サナ達待たせてるから」
そそくさと車から飛び降りたジウに、ちぇ、と肩を落として後部座席の荷物を取ったシャンクスは、運転用のサンダルから底の薄いサンダルに履き替えた。
✜
砂浜の一角。ジウとサナ用に立てたポップアップテントの固定を確認するために屈んでいたシャンクスは、声を掛けたローを見上げた。
「牽制は、しとけよ」
シャツの袷にサングラスを掛けたローが、つい、と向けた目線の先には、すぐ側の日陰で日焼け止めを塗り合っているジウとサナ。
「互いに、な」
よし、とテントのペグを確認して立ち上がり、軽く下げたサングラス越しに波打ち側を見やる。
「男連れだってわかってるだろうに」
「関係ねぇだろ、ソレ目当ての阿呆野郎共には」
キッツいなぁ、と笑いつつも、少し先で話し込んでいる男二人組を見つけて、眉根を寄せる。
「意外と、ジウの方がタチ悪いぞ」
同じ二人を睨めつけるローの言葉に、なんでだ?と問う。
「ジウがナンパされる理由は、サナといるからだと思ってる」
んん、と眉を寄せる。
「自分も割りと男ウケするってこと、わかってないからな」
バカなんだ、と貶すローに、ふん、と一つ息を吐いた。