第35章 Swim wear
先程の特設コーナーとは別の水着売り場。
コレかコレかコレ、あとコレも、と渡される水着の布の面積の小ささに慌てる。
「ちょっサナさんやっ!?」
「見せないセクシーってのもありよね」
渡された水着は、布の面積こそ普通だが、その殆どがシアーレースでバックスタイルはスケスケ。
ブンブンと首を振るジウ。
「普通の、オーソドックスなビニキにしますっ」
さっきのところにあった赤と黒の、と戻ろうとするがサナが引き止める。
「つまんないって!そこはシャンクスさんがびっくりしちゃうくらいの攻めたやつにしようよ」
「いやだーっ!」
わがまま言わなーい、と次々に水着を選ぶサナ。
✜
最終的に4つに絞られ、その中から選ぶよう言われたジウは、赤いホルターネックのワンピースタイプを選んだ。
「ぱっと見は普通だし、『特別よ』ってシャンクスさんに見せたら喜ぶと思う」
「喜ばせたくない」
そんな事言わないの、とニコニコしているサナにため息をついたジウは、本当にコレでいいのか、と水着の入ったショッパーを見つめおろした。
✜
「で、どんなのにしたんだ?」
ジウが持ち帰ったショッパーを指差すシャンクス。
(ニッコニコやんけ...)
見たい、という意志がありありとしている眼差しに、食卓の片付けと洗い物を済ませたジウの口角が引きつる。
「あ、赤のっワンピース型のやつ」
ちょっと考えたシャンクスは、楽しみだな、と笑って半身に振り返っていたソファに掛け直した。
「プールじゃなくて海で良かったのか?」
海水、嫌じゃないのか?と問われ、大丈夫、と頷く。
「ローもサナも、割と海に近いところで育ってて、小さい頃に何度か一緒に海水浴にも行ったよ」
ローのお父さんの車で、と懐かしい思い出を話す。
「それに、塩素の匂いってなんか苦手なんだよね」
「ああ、俺もあんまり得意じゃない」
わかるぞ、と頷くシャンクスに、うん、と答えるジウは、やっぱり買い直そうか、と未だに悩み続けていた。