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依々恋々 -Another story-

第32章 Present for you〜Side RED〜



 ✜

下着一枚で浴室から出て、冷蔵庫の水をボトルのままがぶ飲みする。
遅れて上がってきたジウは、乾いた髪を整えながら、私にも、と手を伸ばす。

艷やかな黒髪に、うん、と一人頷く。
「忘れるところだった」
嘯いたシャンクスを、渡された水を飲みながらなにが?と見上げるジウ。
「もうすぐ記念日だろ」
丈の長い部屋着のシャツ一枚のジウの髪を撫でると、はちみつが香り立つ。
「意外とそういうのちゃんとするのね」
「ひどい奴だ」
笑って、まだ雫が垂れている赤い髪をタオルで拭きながら、ローテーブルの脇から取り上げる。

シャンクスの隣に腰掛け、金のロゴとブランド名が載った黒の紙袋を受け取るジウ。
「開けていいの?」
中のベージュカラーのボックスを開けると、艶めくシックな黒のバーバレッタに大輪のカメリア。花芯部分の黒い大きなカッティングスワロフスキーとクリアカラーの花びらに散りばめられた粒が煌めく。

「ジウは、仕事の時は結うが、休みの日は下ろすことが多いだろ」
どちらでも使えるように、とタオルを肩にかけて笑う。
「センスが意外過ぎ」
「気に入らなかったか?」
とんでもない、と首を振るジウにホッとする。
ありがとう、とはにかむ顔に笑みが溢れた。

「こんな素敵なもの出てくるなら、先に渡すべきだったかも」

ジウがシャンクスの部屋に来る時に使うトートから取り出したのは、赤いサテンリボンがかけられた細長い箱。
解いた中には、黒の本体に「SHANKS」の名入れがされたペンが鎮座していた。

「もし、なにか文具にこだわりがあったならごめんね」
無い、と言い切って手に取る。
「色味が揃ったな」
ジウが持つ箱に収まる髪飾りと、矢羽根をモチーフにしたクリップのペン。艶のある他の色と黒の組み合わせに、そうね、と微笑む。

互いに用意していた記念日の贈り物。

「手帳用にするか」
新しいペンを、ローテーブルに無造作に置かれていた手帳のペンホルダーに差す。
「ありがとな」
やさしく、触れるだけのキスをすると、こちらこそ、とジウは微笑む。並んでソファに腰掛け、サイドの髪を耳にかけてそっと髪飾りでとめる。

「似合ってる」「ありがとう」
柔く塞いだ唇が微笑むのを感じ取り、優しくその体をソファに押し倒した。
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