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依々恋々 -Another story-

第29章 Uniform



ロックが解除された音がして玄関に向かうと、おかえりなさい、と言った声に笑った姿に瞬いた。

「どうした?」
珍しくサンダルではなく革靴を脱ぐ。
向かいで立ち止まり、靴下を脱ぐ姿を見上げる。

「ネクタイ、してる」
ポツリと零したジウに、ああ、と笑ってそれを少し緩めるシャンクス。
「ネクタイ、持ってたんだ」
「一応な、」
脱いだ上着を預かると、疲れた、と後ろに流してセットされていた髪をくしゃくしゃと乱す。

「株主総会があったからな。一応は、それらしくしとくべきかと」
「ああ、なるほど」
それで、と黒のワイシャツにワインレッドのネクタイをかけたシャンクスを見上げる。

「なんだ?」
いつもの笑顔に、笑いかける。
「かっこいいな、って」
ご飯できてるよ、と上着をかけに部屋に向かう。

普段、あまりその類の言葉を言わないジウから不意打ちを食らったシャンクスは、緩む口元を隠しもせずに追いかけた。

クローゼットにジャケットをしまう背中に抱きつき、黒髪にキスをする。

「ふふ、なに?」
擽ったそうに身をよじるジウを抱きしめる。

「もっと言ってくれ」
「『かっこいい』って?」
そう、と抱きすくめたジウの体を揺らす。
「ネクタイ、毎日かけるようにするか」
「たまに見るからいいんじゃない」
「そういうもんか」
「そういうもんです」

食事を支度が整った食卓につく。

「ジウにも、なんか着せたいな」
「なにかって?」
そうだなぁ、と食事に手を付けながら考えるシャンクス。
「学生服、どっちだったんだ?」
「中学はセーラーで高校はブレザー」
「どっちもいいな。あとは和装も似合いそうだな」
「浴衣はあるけど、着物は着たこと無いなぁ」
浴衣か、と向かいのジウを見やる。
「淡い色味が、髪に映えていいだろうな」
それか深めの明色、と微笑む。
「着物でデートするか」
「素敵ね」
よし、やろう。と言うシャンクスと笑い合い、いつもの二人の夜を過ごした。
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