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依々恋々 -Another story-

第27章 ふたり



「お嬢さん」

彼との約束のない仕事帰り、声を掛けられる。
「レイリーさん。こんばんは」
こんばんは、と丸メガネの奥の目が笑う。

つい目が行くのは、彼の腕につかまる自分と変わらない年頃の彼女。
こんばんは、と笑う彼女に、こんばんは、と会釈する。

「今日は、シャン坊と一緒じゃないのか?」
「ええ、今夜は仕事で会食に」
「なかなか、忙しくしているようだな」
そうですね、と頷くと、レイリーの腕に捕まる彼女が二人を見比べる。
「レイさん、お知り合い?」
「うん?ああ、まあ...」
チラリ、とジウを見て微笑むレイリー。

「義理の娘、みたいなもんさ」

え?と目を瞬かせるジウと、そっか、と笑う彼女。
「すまない、行こうか」
「はぁい」
淡いピンクの唇が微笑む。
「ジウさん、また芍薬で」
「あ、はい。お気をつけて」
会釈して二人を見送る。

「娘さん?...いや、お孫さん??」
仲良さげ、と寄り添う背中を暫く見ていた。

  ✜

数日後。
「レイリーさんがね、『義理の娘みたいなものだ』って」
なんでまた、とキッチンカウンターに手をつくシャンクス。
「偶然。娘さん...お孫さん?とお買い物中だったみたい」
シャッキーさんは見なかったな、と洗い物の泡を流すジウに、シャンクスは少し目線を落とした。
「あー、んー...えっと、レイさんは独身だ」
「...へ?え?シャッキーさんは?」
「彼女は...えー、レイさんの正妻、かな?」
「はい?」
意味がわからない、という顔のジウに、まあそうだよな、と苦笑いする。

「ジウは、いくつか勘違いしてる」
シャンクスが立てる人差し指に、うん、と頷く。
「まず一つ。レイさんとシャクヤクさんは、夫婦じゃない」
瞬きしたジウが、ハッ、として口元を手で隠す。
「うん、次に、二人は恋人関係と言うわけでもない」
言いづらそうに言うシャンクスに、ちょっと待って、と手を出す。

「え、私、てっきりレイさんとシャッキーさんって...え?だって、あなた今『正妻』って...?え?」
勘違いも仕方がない、とカウンターを回って、混乱するジウの頭を撫でるシャンクス。

「難しいんだよなぁ、あの二人」
つまりな、と言葉を選ぶシャンクスに、ジウは、はあ、と頷いた。
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