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依々恋々 -Another story-

第26章 LOVE LETTER


「ジウから、キスしてほしい」
優しく腕を掴む手に指を絡めて握り、薄い唇を柔く塞いだ。

珍しくただ、大人しくキスを受け取るシャンクスが掴む腕に微かな震えを感じる。
薄く目を開けると、どこか不安げな顔で静かにキスを受けている。

少しだけ唇を離すと、あ、と薄く開いた唇。
首に腕を回しその唇に吸い付く。
びくり、と驚いたシャンクスの下唇を舌でなぞり、ちう、と吸う。
膝立ちになって髭がざらつく輪郭を掬い上げる。

「ん、」
いつもの逆の位置でのキス。
彼がするように、髪に指を差し込んで後頭部を支える。
「っは、」
僅かに離れ、ぺろり、と舌で薄い唇を舐める。
「シャン、舌、出して」
ハァ、と湿った吐息とともに差し出される舌に吸い付く。

最後に強く吸い上げて離れると、口の端から垂れている露を舌で舐め取られた。

「機嫌直った?」「微妙、だな」
「ぇえ〜?」「もっとキスしてくれたら直る」

ん、と目を閉じて求めてくる顔は少し笑っていて、本当はもとから機嫌悪くなんてなかったんじゃないか?と疑う。
ゆっくりと開いた柔い瞳。
「ジウ、キス、して?」
再び閉じた瞼。
もう、と一息吐いて、口づけた。

「ジウ」
さらり、と髪を撫でる手の温かさに甘える。
「あまり、苦しめないでくれ」
どういうこと?と至近距離で見上げた。
困ったように笑う頬を撫でると、短い髭が指先に擽ったい。
「ジウを、独り占めできればなぁ」
肩に額を擦りつける赤い髪。
少し伸びたなぁ、と掬う。

「お返事、書いておかなきゃ」
首を傾けて片目で見上げるシャンクスに微笑む。
「『大切な人がいるので、お気持ちにはお応えできません』って」
コピー用紙じゃあんまりよね、とリビングのローテーブルの下に置かれた書簡に入った白紙を見やる。
「構わんだろ」
「たったそれだけにA4用紙使う?」
手を伸ばしてバッグから手帳を取り出し、裏表紙から名刺サイズのメッセージカードを取り出す。

「『お断り』ってでかでかと書いとけ」
「嫌な女みたいじゃない」
「ジウがいい女なことは、俺だけわかってればいい」
「...アリガトウゴザイマス?」
どう返したらいいのよ、と苦笑いしてペンを執る。

「ジウ」
ペンを持つ手を取る。
「離れるなよ?」
強い口調で、不安そうに揺れたブルー・グレーに頷いた。
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